非線形光学効果
光の強度が低い場合は、物質は光に対して線形な応答を示し、物質を透過した光の周波数は透過する前と同じものが得られます。
しかし、光の強度が強くなると、物質と光による相互作用が強まり、物質の誘電率に依存して変化します。
物質に光を入射したときに、物質内に誘起される分極Pは入射光電場Eを用いて
P=χ1ε0 E+χ2ε0 E2+χ3ε0 E3+・・・ (ε0 :真空中の誘電率 χ:電気感受率)
と表すことができます。
ここでχ1 >>χ2 >> χ3 >>…であるため、一般的な光については電場が弱く上式の2番目以降の項は小さく無視でき、
分極Pと電場Eは線形関係にあると考えることができます。
しかし、レーザ等の強い光を物質に入射した場合には、電場が強く、上式の2番目以降の項が無視できなくなります。
この結果、分極Pと電場Eの関は非線形となり、この分極の2番目の項以降に起因する現象を非線形光学効果と呼びます。
各種の非線形光学効果
各種の非線形光学効果
1. 高調波の発生
物質に入射した光から入射した光の振動数の2倍
又はそれ以上の振動数の光が発生する現象です
2. 和周波発生
2つの異なる周波数の光を物質に入射した場合に、
入射した2つの光の周波数の和の周波数の光が発生する現象です。
周波数の関係は、ω1+ω2=ω3 となります
3. 差周波発生
2つの異なる周波数の光を物質に入射した場合に、
入射した2つの光の周波数の差の周波数の光が発生する現象です。
周波数の関係は、ω1-ω2=ω3 となります。
4. 光パラメトリック発振
物質に入射した光から異なる周波数の2つの光が発生する現象。
周波数の関係は、ωp=ωi+ωs となります。
その他にも、非線形光学効果として多光子吸収や光カー効果等の現象が知られています。