光コム(光周波数コム) OPTICAL FREQUENCY COMB

光コム(光周波数コム)

高精度な光の櫛(周波数目盛)を実現

光コム(光周波数コム)とは、等間隔に並んだ櫛状(櫛=Comb コム)の周波数スペクトルを持つレーザです。光コムの周波数成分を原子時計やGPSなどの周波数標準器に同期させることで、各周波数を高度に安定化できるレーザとして様々な分野で利用されています。また現在の長さの国家標準に用いられているレーザでもあります。

概要

OVERVIEW

ネオアークの光コムは希土類添加光ファイバをゲイン媒質とした非線形偏波回転型モード同期ファイバレーザです。(中心波長1560nm。広帯域化・可視光化応相談)光コムのパルス間隔(繰り返し周波数ƒrep)とキャリアエンベロープオフセット(ƒCEO)は、原子時計やGPSなどの周波数標準を参照・同期させることで、時間・周波数標準レベルの高い精度で光の周波数を規定することができます。
夢の光源と謳われる光コムは、光周波数測定、長さ計測、形状評価、テラヘルツ波発生、光量子技術や次世代通信技術への応用を始め、最先端の科学技術・宇宙分野へ向けた物性評価や分光分析などに向けた新時代光源として幅広い可能性を有しています。

製品特長

PRODUCT FEATURES

安定動作

長さ国家標準にも採用されているモード同期ファイバレーザ方式の光コム。最小限の調整で安定した動作が得られます。
10年超の開発期間を経てリリースされたネオアークの光コムは外部環境の変動に対する対策が盛り込まれており、最小限のメンテナンスで運用をすることが出来ます。(超高精度に運用可能な光コムは原理上安定した実験室環境への設置が必要条件となります。)

モジュールタイプのコントローラ・19インチラック対応

必要な機能を自由に組み合わせることが可能なモジュールタイプのコントローラは全て自社工場(東京都八王子市)で開発・製造されています。
周波数安定化装置、半導体レーザ(LD)ドライバ、ピエゾドライバ、温度調節器などの各モジュールは、目的に合わせて個別にご提供することも可能です。
またモジュールを搭載する電源フレームは19インチラック(EIA規格)への収納に対応しています。(電源フレーム1セットあたり最大6モジュール収納)

様々なオプション

EOMを用いた高速制御光コムによる線幅狭窄化

他の狭線幅レーザとの光ビート信号を用いて光周波数コムを高速制御することにより、スペクトルを狭窄化することができます。例えば、線幅1Hz級のCWレーザを周波数基準とすれば、全ての波長帯のコムモードの線幅を1Hz級にすることが可能です。

高出力化、広帯域化

ファイバアンプを用いた光周波数コムの出力の増幅(≧3mW→≧50mWなど)、スペクトル帯域を拡大することにも対応しています。(中心波長1560nm→拡大後帯域 約1000nm~2000nm)

波長変換(可視光化)

波長変換により可視光コム(中心波長780㎚)の出力が可能です。また可視光コムの広帯域化についてもご相談下さい。

ビート検出ユニット

狭線幅レーザなどの外部レーザと光コム間のビート検出ユニットについてご相談を承ります。対応するレーザ波長域は700nm~1600nmに実績があります。(原則として外部レーザ波長に対しユニット1台となります。複数波長への対応をご希望の場合は相談下さい。使用する外部レーザによっては十分なビート信号強度が得られない場合がございます。)
また外部レーザの安定化制御についても相談を承ります。

使用例

EXAMPLE OF USE

ハイパースペクトルイメージングへの応用例

“Scan-less hyperspectral dual-comb single-pixel-imaging in both amplitude and phase,” K. Shibuya et.al., Optics Express
Vol. 25, No. 18, 21947 (2017)
https://www.osapublishing.org/oe/abstract.cfm?uri=oe-25-18-21947

長さ計測への応用例

“Development of a non-contact precision measurement technique using optical frequency combs,” T. Onoe et.al., Key Engineering Materials Vols. 523-524, pp 877-882 (2012)

仕様

SPECIFICATION

基本仕様

【光学部】
概要 エルビウム添加光ファイバによるモード同期ファイバレーザ ※非線形偏波回転方式
中心波長 1560 nm ± 20 nm (高周波発生オプション有)
出力 ≧3 mW、≧50mW (ファイバアンプオプション有)※100mW等応相談
スペクトル帯域 ≧15 nm (広帯域化オプション有)
繰り返し周波数ƒrep 100 MHz(固定値) (ƒrep可変オプション有)
基準周波数源*1 原子時計やGPS等のマイクロ周波数源
ƒrep安定度 ≦1Hz(外部周波数標準器の安定度に依存)
パルス幅 ≦200 fs (チャープ補正時)
オプション 高速制御、ファイバアンプ、広帯域コム、可視光コム、デュアルコム、ビート検出ユニット、外部レーザとの同期制御、コム光学系の19インチラック収納対応など
*1 GPSなどの基準周波数源は本製品に含まれません。オプションとしてご提案可能です。
f-2f干渉計構築など部分技術のご相談も承ります。
【コントローラ】
概要 光周波数コムコントローラユニット(モジュール換装タイプ)
機能 ƒrep安定化装置、ƒCEO安定化装置、温調付きLDドライバ、PZTドライバ、温度調節器
※各モジュール単体でもご提供可能です。

安定化方式別の光コムの主な分類

繰り返し周波数安定化光コム

繰り返し周波数(ƒrep)を周波数標準に同期させ安定化

オフセット安定化光コム

ƒrepに加えてキャリアエンベローブオフセット周波数(ƒCEO)を周波数標準に同期させ安定化

高速制御光コム

レーザ共振器内のEOMによって周波数スペクトルの高速制御が可能なフラグシップモデル

応用例(デュアルコム応用例)

APPLICATION

デュアルコム分光法測定機

デュアルコム分光法は2台の光コムを用いた新しい分光測定法です。この度、ネオアークは電気通信大学 美濃島薫教授との共同研究において物性計測への応用を確立して、世界で初めて製品化を行いました。
➡JST共同発表
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20191106/index.html
デュアルコム分光法により従来の分光法では得ることが難しかった情報を測定可能となり、様々な研究へ活用されることが期待されています。

デュアルコム分光法とは

光コムの縦モードは非常に精密な等間隔で規則正しく並んでいます。その縦モードの間隔は数十MHzと非常に狭く、スペクトルアナライザなどの従来の機器ではそれぞれの成分を分離して測定することは出来ませんでした。しかし、デュアルコム分光法を用いることでそれが可能となります。繰り返し周波数(f_1、f_2)がわずかに違う2台の光コムの光を干渉させると、周波数の差による「光ビート」が発生します。光ビートを測定する測定手法は光ヘテロダイン法と呼ばれますが、デュアルコム分光は光コムが持つ全てのスペクトルにおいて、同時に光ヘテロダイン法を行う手法となります。この光ビートの重なった信号はインターフェログラムと呼ばれ、2台の光コムが持つ全ての波長成分の信号が含まれています。インターフェログラムをフーリエ変換を行い、周波数情報に変換する事で、光コムの各周波数成分の強度を一回の測定で得ることができます。

デュアルコム分光法の特長

高い波長分解能

デュアルコム分光法の波長分解能は光周波数コムのスペクトルの間隔によって決定され、数十MHz~100MHzとなります。1.55μmの波長帯で換算すると約1pmとなり、既存の分光法と比較して桁違いの分解能が実現できます。

高速な測定

FT-IRなどでは測定に機械ステージを用いるため、1回の測定に数秒~数分かかります。デュアルコム分光法では機械ステージは不要であり、1回の測定は数ミリ秒で終わります。

電場波形の直接解析

光ヘテロダイン法は時間軸、周波数軸のダウンコンバートを行う手法である為、デュアルコム分光法では光の電場の直接観察が可能です。電場の位相測定では、光学遅延の観察が可能であり、その結果から屈折率を求めることが出来ます。

磁気光学効果評価への応用例

https://www.jst.go.jp/pr/announce/20191106/index.html

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